突然ですが、和歌山のメバル事情について私見を書きたいと思います。学者ではないので、あくまで釣り人目線で20年ほど蓄積してきたことをだらだらと。ちょうどハイシーズンですし、和歌山県でメバリングをやってみようと思っているビギナーの方に向けた備忘録です(なんじゃそりゃ)。
まずは、メバルにはアカメバル、シロメバル、クロメバルという三種がいるとされてますが、和歌山県内で漁港で釣れる小さなメバルはシロが多いです。まずはこのシロメバルから始める人が多いと思います。
ここでややこしいのが、通称「ブルーバック」といわれる、文字通り背中が青いメバル。ブルーバックはクロがほとんどですが、シロも背中がほんのりと緑になっているものがあり、それもブルーバックと呼ぶ人もいます。ここではややこしいのでブルーバック=背中の青いクロメバルに限定します。
ではまず、ひろ的メバル分布図を見てみます。
【紀北~中紀エリア】
和歌山市最北端の大川エリアから日高郡日高町の日の岬北側までのエリア。アカ、シロ、クロ(ブルーバック)の3種が狙えるエリアで数釣りもしやすいのが特徴です。
ほぼ最南端の日高町エリアの磯では数は少ないが、ヒットすれば尺上のシロということも何度かありました。一発大物なら、竿抜けになりがちな日高町周りを攻めるのもアリかもしれません。ちなみに日の岬の南側にある三尾漁港内で、明らかに尺上という魚影をいくども見たことはありますが、ナイトゲーム不可の漁港なので釣ったことはありません。
本格的に数釣りをするのなら由良町以北になるでしょう。漁港内ではシロの数釣り、少し外洋が近いとブルーの群れに当たることもあります。磯場ではアカも釣れることが多く、メバリング初心者から上級者まで楽しめるエリアです。
【中紀~西牟婁エリア】
日高郡美浜町~東牟婁郡串本町の潮岬より西側のエリア。黒潮の影響を大きく受けるこのエリアでは、狙って釣ることはかなり難しかったです。御坊市周辺ではたまに釣ったことはありますし、知人の話では田辺湾奥では釣れるとのことですが、「調査」ではない「ファンフィッシュ」で行くと、楽しくない釣りになる可能性が高いですね。
【東牟婁エリア】
串本町の出雲~新宮三輪崎までのエリア。かつては「釣れたら尺」と言われたほど、大型のメバルが濃い聖地。京阪神、中京エリアから多くのメバルアングラーが訪れます。
ただ、いくら聖地とはいえ、大型のメバルが釣れるのは磯やサーフ回り。漁港内ではなかなか尺上には巡り合えないので、上級者向きのエリアだと思います。
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では、魚種について考察したいと思います。
【シロメバル】
まず多くのビギナーがここから入ると思います。特に由良湾以北の漁港ではこれが大半。6~7ftのレングスのロッドにジグヘッド単体、もしくは小型シンペンでよく釣れます。漁港内では20cmまでが多いと思いますが、磯回りや外洋に面したシモリ際、消波ブロック周りでは尺越えもあります。
【アカメバル】
アカメバルを和歌山で狙うなら漁港内より磯回りを攻めるのがいいでしょう。この種のメバルは少し顔つきが尖がっている気がします。名前の通り赤みが強い個体が多くきれいなのですが、紀北の漁師さんの間では嫌われており、値段がほぼつかないらしい。
表層を回遊することもありますが、ほとんど根や藻まわりに付いていて、ブルーバック狙いのゲストとしてよく登場します。私個人的にはシロ、クロ、アカの3種の中では、唯一尺上を釣ったことにない種類で、最大で25cmくらいでしょうか?
【ブルーバック】(クロメバル)
個人的には一番好きな個体。顔から背中にかけて鮮やかな青、緑色をしたきれいなメバルです。胸びれ条数16本なので種類としてはクロメバルです。
ここ数年、ブルーバックを狙うメバルアングラーが増えましたね。この種類もアカメバルや良型のシロメバルと同様、漁港内より外海に面した海のほうが出合える確率が上がる気がします。ただ、アカメバルほど磯場に執着しているでもなく、小型であれば漁港の消波ブロック周りで釣れることもあります。
ただ、20cm後半から尺上となると、やはり外海に面したエリアに分がありそうです。
特徴として、回遊性が強いこと。それまでノーバイトだったのが、突然連発することも多く、いきなりライズ祭りになることもあります(マズメ時に顕著)。
そしてブルーが数釣れる時は、ほぼ「風」が絡みます。磯ヒラとサラシの関係と似ています。ただ磯ヒラほど荒れるとライトゲームどころではなくなるので、ほどよい「風」がブルーバックへの近道になるでしょう。
この「ほどよい風」がどれくらいなのか?ですが、おそらくポイントによって違います。例えば、家の前の店のノボリがパタパタっとなびいてるであるとか、マフラーなしじゃ首元が冷えるだとか、それは自分の感覚であり、「今日はベランダの木の枝がそよいでるから行ってみるか!」とか、なにかすてきじゃないですか。自分なりの指標を設定して、パターンにはまった時の「してやったり感」はご自身で味わってください。
【南紀メバル】(よく分からないメバル)
あえて「南紀メバル」とカテゴリー分けをさせていだだきました。「え?南紀メバルはアカメバルじゃないの?」。そう思う人も多いと思いますが、胸びれ条数で判断すると先ほどのブルーバックと同じ16本。すなわちクロメバルと仮定できますが、あまりにも見た目が違うのでよく分からないメバルです。
どこから見てもアカメバルやんって感じですが、南紀メバルの特徴として、まぶたといいますか、眼球の外回りが金色~黄緑がかってるものが多い気がします。紀北で釣れるアカメバルは、ここも赤いです。
あとサーフ回りで釣れるものは白みが強く磯回りで釣れるものは赤みが強く、厚みもある個体が多い気がします。
例えばこの上記のメバル。35cmの大型個体ですが、これは私の南紀メバルチャレンジ初期にいろいろとお世話になったテツさんがほぼ10年前に釣ったものです。無許可で写真を使ってテツさんごめんなさいw
テツさんのブログはものすごく写真がきれいで、あこがれてました。私がブログ始めたのもテツさんの影響がかなりあった気がします。今でこそみんな写真が上手ですが、当時はね、、写真がきれいなブログってそんなになかったんですよね(笑)。
話は逸れましたが、いわゆるこんな赤みの強いごっつい個体は磯回り。さらにいうと、串本→勝浦→新宮と北上するにつれて色が白っぽくなるという人もいます。
なんでこのエリアだけ、こんなにでかいのがそろうのか? 「メバルは尺上になるには10年くらいかかるから貴重だよ!」という話をよく聞きますが、このエリアはメバルの老人ホーム??といわんばかりです。
私が勝手に思っていることは、この熊野灘のエリアは非常に餌が豊富で、大きくなるのが早いのでは?と思っています。一度、耳石を調べてほしいと数年前に32cmの南紀メバルを生きたまま県立自然博物館に持ち込んだことを、、、今思い出しました。そのまま返事ないですね(笑)。ま、学芸員さんの余計な仕事を増やすのだから仕方ないですね。
南紀メバルもやはり漁港内より外海の磯場、シモリが絡んだサーフ、ゴロタ周りを攻めるのがいいと思います。それこそアベレージ32cmが、つ抜けということもありましたし、夢のあるエリアです。
ただ、最近は釣れる数も減り、特に今シーズンは、極端に釣れなかったと聞きます。このまま「昔はよかったなぁ」になっていくのか、黒潮大蛇行による、一時的なものなのかは分かりません。
全国での稀有な「釣れたら尺」という南紀のメバル。末永く楽しめますように。
【まとめ】
以上、だらだらと長くなってすみませんでした。とりあえず和歌山県内でメバルの顔を見たいというのであれば、漁港の常夜灯や消波ブロック周りをジグ単やシンペンで探ってみてください。シロメバルが遊んでくれます。
尺メバルを釣りたい! というならば、南紀に行くのがオススメです。新月~半月のゴロタをフロートリグで探るのが一番の近道でしょう。ちなみに根に執着しがちですが、結構回遊もしますよ。。ラインは最低でもPE0.6号、リーダーも2号くらいあったほうがいいかと思います(ただ、黒潮大蛇行が始まった翌年の2018年以降は、あからさまに釣れなくなってきています)。
ブルーバックが釣りたいって人は、ひたすら地磯やベイトの回遊がある場所を探してみましょう。ベイトが一つのカギになることがあります。
本州最南端の県ながら、こんなにも多様にメバルが狙える和歌山県。北から南までいろいろ探ってみてはいかがでしょうか。
おわり。
※追記 2023年11月にこの記事が元となり、南紀メバルについての論文が認められました。
それについての記事を
に分けて記載しておりますので、そちらもぜひお読みいただければと思います。