エコよりエゴ

 

わかやま新報の3月20日付1面の記事によりますと、

 

県内の約9割の人がマイバッグ持参で買い物をしているということです。

 

9割という数字はものすごい値で、

 

マイバッグじゃない人は変人扱いされるレベル。

たかだか数カ月でマイバッグ派とレジ袋派が、

 

完全に逆転してしまったようで、これは社会現象といえます。

 

ただ、マイバッグ運動は近年生まれたわけではありません。

 

日本でのレジ袋の削減運動は、

 

実は30年以上前から行われていること。

 

マイバッグ、マイ箸など、環境への意識付けは、

 

ここ数年で一気に盛り上がりをみせた感がありますが、

 

そうではないのです。

 

では、30年以上も前から提唱されている

 

レジ袋の削減、マイバッグ運動は、

 

なぜ浸透しなかったのでしょうか。

 

理由は明快。

 

「環境意識が高い人のほうが『損』をする」という

 

社会的ジレンマが生じているからです。

 

歩くより車を利用したほうが速くて楽。

 

暑くて我慢するよりクーラーをつける方が快適。

 

マイバッグを持ち歩くよりレジ袋をもらう方が便利などなど…。

 

いくら地球環境を叫んでも

 

我が身のかわいさには勝てないようです。

 

「エコよりエゴ」これが現実。

 

レジ袋有料化はこのエゴを逆手に取った手法であり、

 

マイバッグを使い出した人のほとんどが

 

「レジ袋はお金がかかるから」という理由であり、

 

「地球環境のため」ではないと思います。

 

要するに強烈な動機付けが必要だったのです。

 

有料化は、結果としてレジ袋の県内消費量を減らすことになりましたが、

 

やり方といえば、行政主導であり、

 

市民の倹約意識を利用したもの。

 

マイバッグ運動は本来、

 

市民主導で環境意識から成立させるべきものなのです。

 

生活研究グループなど、

 

主婦らの団体が長年訴え続けたにもかかわらず

 

一向に浸透しなかったレジ袋削減が「天の声」で解決。

 

これは悲しいかな市民社会の敗北なのではないのでしょうか。