紀伊半島だけでなく、いろんなエリアの渓流を見てみたい。身近に先達たちがいてくれたことが何よりも大きいし、感謝以外の何物でもない。自分一人では無理がある年齢でもある。そして、そもそも源流は、エリアにもよるが、できる限りツーマンセル以上での行動が必要だと実感した。
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私の渓流遠征の第一歩は、まずは中部地方北部の渓だった。スノーボードでよくこの地を訪れる友人に連れて行ってもらった。狙いはダム湖からのダムサツキだったが、そのポイントでは、案内人がニジマスを釣っただけだった。
ダム湖がいくつもあり、支流が多く流れ込んでいるエリア。いろいろと散策したが、意外と釣りができるエリアが少ない。藪漕ぎで抜けたエリアでは小さいながらヤマメがたくさん釣れてくれた。
私が住む紀伊半島にはヤマメはいない(放流もない)。アマゴなので、人生で初のヤマメとなる。アマゴとはまた違う美しさ。よりシンプルな美しさがあった。
そしてブラウントラウトも。これも人生初の出逢いだった。素晴らしい渓ではあったが、ニジマス、ブラウンと外来種の多いエリアだと分かった。これらの魚は積極的にキープ。ブラウンは2匹だった。
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また別の日。次に狙ったのはナガレモンイワナという魚。私の渓流の師匠ともいえる先達に案内していただいた。向かったのは花崗岩のきれいな渓だったが、師が白っぽい小さなイワナを釣っただけで終わった。
魚影は極端に少ない感じだった。その後、別の渓に向かったが、ここではニッコウイワナが数釣れた。
結局、ナガレモンイワナには出会うことはできなかった。
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後日、ナガレモンのリベンジか、それとも中国地方に棲む固有種「ゴギ」を狙うか。師はゴギを久しぶりに見たいというので、日帰りで向かうことに。日帰りでは遠いのではと思っていたが、その熱意に敬意を表すしかない。
そこで迎えてくれたのはヤマメ。 ルアーはハンドメイドである。 市販のものは素晴らしいが、どうしてもスローシンキングで40mm以下のミノーがほしかった。ないものは作ればいいといえば、格好良いが、現実は、ないものは作らなければ、ないので仕方ない。
その後、滝を一つ越えるとゴギに出逢えた。
頭部から背中にかけての虫食い模様の独特の様相だ。
アベレージも比較的大きく、釣れるイワナはすべてゴギであった。
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オショロコマやアメマス、ミヤベイワナなどは現実的に年間に何度もチャレンジできる魚ではない。そんな中、ゴギに出逢う機会を与えてくれた先達には感謝しかない。
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そして8月にはヤマビルやスズメバチも増えてきたこともあり、渓流はオフシーズンに。ここからがいかに自分のスタイルにしていくか、経験をフィードバックする重要な期間である。来季のため。さらに多くの出逢いを生むことができるために。